其の壱 平成24年3月26日(月) 晴れ
第三十七番札所:岩本寺
上の巻から半年余り後、再びモダン遍路に出かけます。
前回の区切り打ちのお寺での射し込む光が印象的でしたが、今回のスタートのお寺でも輝く光に出逢いとても感激です♥
弘法大師像も眩しいまでに光を受けて美しい虹を映し出してくれていました。
今回も前回同様素晴らしい旅にきっとなることでしょう。
木造で円形の「歓喜天」や本堂の「天井絵」が見所です。
其の弐 平成24年3月27日(火) 晴れ
第三十八番札所:金剛福寺
さまざまな願いを叶えてくれるという「大師亀」。
頭をなでると運が開けるとか。
広大な敷地面積の境内には大きな池が広がり、まるで庭園のように美しい境内が印象的です。
第三十九番札所:延光寺
国の重要文化財の梵鐘は非公開ですが、境内に梵鐘を甲羅に載せた赤亀の像があります。
「目洗いの井戸」は水不足で困っている住民のために弘法大師が湧き出させたという霊水で、「宝医水」とも呼ばれ、眼病にご利益があるそうです。
第四十番札所:観自在寺
伊予の国(愛媛)は菩提の道場と呼ばれています。
菩提とは煩悩を断ち切ることです。
見所は「栄かえる」
ご利益があるとされる金剛杵三種が安置されています。
*金剛杵は人間の心の中の煩悩を打ち砕く仏の智慧を表す
密教法具で、両端の突起の数により「五鈷杵」「三鈷
杵」「独鈷杵」と言い、五鈷杵は最も重要視されていま
す。弘法大師が唐から持ち帰ったのも五鈷杵です。
第一番札所から最も遠いお寺なので「四国霊場の裏関所」
とも呼ばれています。
第四十一番札所:龍光寺
創建当時本尊は稲荷大明神を祀っていましたが、神仏分離より今の本堂を建て、旧本堂は稲荷神社となりました。
山門ではなく石の鳥居が建っています。
第四十二番札所:仏木寺
四国霊場唯一の茅葺屋根の「鐘楼」があります。
第四十三番札所:明石寺
左右が反った唐破風の屋根が本堂の特徴です。
インドプタ5世紀作と最も古い仏足跡の模刻の「仏足跡」や「夫婦杉」「しあわせ観音像」があります。
其の参 平成24年3月28日(水) 晴れ
第四十四番札所:大宝寺
88ヶ所の真ん中の札所であることから「中札の霊場」とも呼ばれています。
前の第四十三番札所からこのお寺までの道のりは伊予路一の長さです。
第四十五番札所:岩屋寺
昔、法華仙人が住んでいたと言われている堆積岩に囲まれたこのお寺は、山門から260段余りの石段を上がった所に本堂が在ります。
大師堂が本堂より大きく高い位置にありますが、山全体を本尊とするお寺ならではのこと。
「弘法大師の穴禅定」と呼ばれている洞窟の奥には、願いを叶えてくれる『かなえる不動』や『独鈷の霊水』が湧き出ています。
駐車場近くのお店「美麓(みろく)」で
名物『伊予柑ようかん』と『甘茶』のご接待を受けました。
第四十六番札所:浄瑠璃寺
心身堅固・文筆達成にご利益がある「仏手指紋石」
知恵技能にご利益がある「仏手石」
裸足になって立つと健脚・交通安全にご利益のある「仏足石」
お釈迦さまが説法・修行されたインドの霊鷲山の石が埋め
込まれた「説法石」
知恵・財宝・音楽にご利益のある「一願弁天」
と様々な霊験のある石があちこちに置かれています。
第四十七番札所:八坂寺
戦国時代以来、再興と焼失を繰り返したため本堂と大師堂は近年再建されたので色鮮やかですが、周囲の自然とあった佇まいを見せています。
第四十八番札所:西林寺
家庭円満の願いを叶えてくれる「親子竹」や「一願地蔵」があります。
第四十九番札所:浄土寺
文明14年(1482)に創建された本瓦葺き・寄棟造りの本堂は国の重要文化財です。
第五十番札所:繁多寺
元禄の鐘をそのまま利用して再建された「鐘つき堂」や「歓喜天堂」があります。
番外編:門前の小僧習わぬ経を読む
巡礼には手順があります
①山門や仁王門で一礼し煩悩を落とす
②水屋で手を洗い口をすすぎ心身を清浄にする
③鐘をつき、鐘の音を聞きながら心を静め肩の荷をおろし仏様に出合う準備をする
④納札を納める
⑤お灯明、線香、賽銭をあげる
⑥本堂に向かって合掌し、心静かに読経
⑦大師堂でも本堂と同じようにお参りを行う
⑧納経所で納経帳に御朱印を頂く
1歳8カ月の孫娘はまだ片言の言葉しか話しませんが、私たちと共に巡礼をしているので、いつのまにか私たちと同じことをするようになりました。
お鈴を下げ、数珠を持ち、お経を一緒によむ(?)一人前のような彼女の姿は地元の人達や他の参拝者達に大人気です♥
其の肆 平成24年3月29日(木) 晴れ
第五十一番札所:石手寺
鎌倉時代建立の「本堂」「三重塔」、元弘3年(1333)建立の「鐘楼」、建長3年(1251)建立の「銅鐘」などすべて国の重要文化財です。
他にも「宝物館」「子授け鬼子母神」「都卒天洞」と見所がたくさんあり、参拝する時間に余裕をもってじっくり過ごしたいお寺です。
見所が多いだけではなく、道後温泉にも近いということもあって日本人だけでなく外国人観光客が多く訪れとても賑やかです。
小高い山の上に建つ弘法大師像。
体は中国を、顔はインドを向いているそうです。
第五十二番札所:太山寺
四国霊場では2番目に古い本堂。
「亀の石」「聖徳太子堂」があります。
第五十三番札所:円明寺
民家が立ち並ぶ街中にありながら、趣があります。
見所は「キリシタン灯篭」「本堂の龍の彫り物」です。
第五十四番札所:延命寺
江戸時代の庄屋・越智孫兵衛の供養塔は農民の生活向上に寄与し、享保の大飢饉の際には一人の餓死者も出さなかったという郷土の英雄で、境内には彼の供養塔が建立されていて、地元で今なお偲ばれています。
第五十五番札所:南光坊
88か所で唯一「坊」の名前が付くお寺。
山祇神社の総本社で、日本全国の山を統べる大山積神の本拠地である大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)の別宮でしたが、神仏分離の際、寺として独立しました。
第五十六番札所:泰山寺
六道輪廻を現わしている「地蔵車」。
1回1徳を願って、手前に回転させて手を合わせて拝みます。
*六道とは、仏教において迷いあるものが輪廻するという地獄、
餓鬼、畜生、修羅、人間、天という六つの迷いある世界のこ
と。仏教では、輪廻を空間的事象あるいは死後に趣く世界では
なく、心の状態として捉え、たとえば天道界に趣けば心の状態
が天道のような状態にあり、地獄界に趣けば心の状態が地獄の
ような状態である、と解釈されています。
第五十七番札所:栄福寺
大師堂の外回りに十二支の干支の彫刻が施されています。
正面は玉をくわえた龍。羊の姿が見えませんが、実は隠し彫りされているとか。
第五十八番札所:仙遊寺
仙人が遊んだという伝説が残るお寺。
山門から約500mの急勾配の山道が続きます。
寺名の由来でもある「阿坊仙人の像」や諸病に霊験のある「弘法大師のお加持水」などが山門からの石段の途中にあります。
「八十八か所御砂踏」
大師像のまわりを八十八か所霊場の御本尊の石仏が囲んでいます。
全霊場をお参りできない人はここでお参りするとよいそうです。
其の伍 平成24年3月30日(金) 晴れ
第五十九番札所:国分寺
等身大の修行大師像。
握手して祈願すると願いが叶うそうです。
ただし願い事はひとつだけ。
第六十番札所:横峰寺
本堂は神社風の権現造りです。
「神も仏も有難いのは同じである」という弘法大師の
教義故のようです。
第六十一番札所:香園寺
聖徳太子が用明天皇の病気平癒のために創建したお寺。
昭和57年に近代的なコンクリート造りの大聖堂が建てられました。1階が大講堂。2階が本堂と大師堂。700席近い席があり、座ったままお参りが出来、金に輝く御本尊を目の前で拝観出来ます。
難産の女性を救ったことから安産祈願として有名。
右手に錫杖、左手に赤ちゃんを抱いている「子安大師」。
第六十二番札所:宝寿寺
見所は「安産観音像」。
第六十三番札所:吉祥寺
毘沙門天を本尊とするのは四国霊場で唯一。
毘沙門天の后、吉祥天はあらゆる貧困を取り除き大富貴をもたらす神様で、くぐると御利益がある「くぐり吉祥天女」や「八角堂」「成就石」があります。
直径30㎝程の穴のあいた成就石。
石の裏側から本堂を望む。
第六十四番札所:前神寺
昭和47年に再建された青い銅板屋根の本堂が印象的です。
1円玉を投げて岩肌に張りつくとご利益がある「御滝不動尊」や一枚石に彫られた「大師像」があります。
平成24年3月31日(土) 雨のち曇り
空海は804年遣唐使船に乗り唐にやってきます。
そして青龍寺で恵果和尚から真言密教を学び、806年日本に帰国しました。
1980年初頭、廃寺となっていた青龍寺が日本の協力の下
再建されました。そしてその時、日本から桜が贈られました。今では西安の青龍寺は桜の名所となっています。
いつでもどこでも初対面の人と親しくなれる息子を大そう気に入って下さった請川富士子さん 。彼女はなんとその時に建築士として参加していたそうです。また今は亡きご主人は当時の県知事として桜の贈呈に寄与していらしたそうです。
ANA592便(14:30松山空港→15:55羽田空港)
今回は前回以上に、光を浴びて輝く本堂や大師像などありがたい姿を
数多く拝見しました。
お寺の名前に光の文字が入っているお寺は88ヶ所中
「延光寺」「龍光寺」「南光坊」の3ヶ所です。
すべて今回の遍路で参拝したお寺です。
まさに今回の旅は「光とともに」といったところでしょうか。
さて、お遍路の旅、次回はいつになるのでしょうか。
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